補助金と助成金は、どちらも国や自治体が提供する返済不要の資金支援制度ですが、 「名前が似ている」という理由だけで同じものとして捉えてしまうと、制度選びを誤る可能性があります。 実際には、対象となる企業、目的、申請の難易度、受給までの流れには明確な違いがあり、 自社の状況や経営課題に合っていない制度を選んでしまうと、 「時間だけがかかって結局使えなかった」という結果になりかねません。 本記事では、補助金と助成金の違いを制度の成り立ちから整理し、 中小企業や個人事業主が失敗しないための選び方までを、実務目線でわかりやすく解説します。
「補助金と助成金、どちらを使えばいいのかわからない」 「申請が難しいのはどっち?」 「自社はそもそも対象になるの?」 こうした疑問を持つ経営者は少なくありません。 補助金・助成金は正しく理解すれば、資金繰りや成長投資を大きく後押しする制度ですが、 仕組みを誤解したまま進めると、かえって経営判断を誤る原因にもなります。 まずは両者の基本的な違いを整理することが重要です。
補助金と助成金の違いをわかりやすく比較
補助金と助成金はいずれも公的資金による支援制度ですが、 制度の目的や運用思想が大きく異なります。 補助金は「新しい挑戦を後押しする制度」、 助成金は「一定の条件を満たした取り組みを支える制度」と考えると理解しやすいでしょう。 以下の表では、両者の違いを主要な観点から整理しています。
| 項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 新事業・設備投資・事業転換などの挑戦支援 | 雇用維持・人材育成・労働環境改善の支援 |
| 管轄 | 経済産業省・中小企業庁・自治体など | 厚生労働省・労働局など |
| 公募期間 | 年数回(締切あり・期間限定) | 通年または随時 |
| 審査 | あり(採択制・競争型) | 原則なし(要件充足型) |
| 代表的制度 | ものづくり補助金、事業再構築補助金 | キャリアアップ助成金、業務改善助成金 |
補助金は「挑戦する企業」を応援する制度
補助金は、企業が新しい事業や設備投資に踏み出す際の費用負担を軽減するための制度です。 国や自治体が「この分野を伸ばしたい」「産業構造を転換したい」という政策目的を持って設計されているため、 申請には事業計画書の提出が求められ、内容によって採択・不採択が決まります。 採択率は制度によって異なりますが、一般的には40〜60%前後とされ、 単に申請すれば受け取れるものではありません。
- 新製品・新サービスの開発
- IT導入や生産性向上のための設備投資
- 既存事業からの事業転換・再構築
また、補助金は「交付決定後に事業を開始する」ことが原則であり、 先に支出した費用が対象外になるケースもあります。 実施後には報告書や証憑の提出が求められるため、 事務負担やスケジュール管理も含めて検討する必要があります。 代表例:ものづくり補助金/事業再構築補助金
助成金は「人と働く環境」を支援する制度
助成金は、従業員の雇用や人材育成、労働環境の改善といった 「人への投資」を支援する制度です。 補助金と異なり、原則として要件を満たしていれば支給されるため、 比較的リスクが低い点が特徴です。 ただし、就業規則の整備や社会保険の適正加入など、 労務管理が前提条件となるケースが多く、 日頃からの体制整備が重要になります。
- 非正規雇用から正社員への転換
- 賃金引上げや処遇改善
- 職場環境や生産性の改善
助成金は社労士がサポートするケースが多く、 制度を正しく理解し、継続的に活用することで 人材定着や組織強化につなげることが可能です。 代表例:キャリアアップ助成金/業務改善助成金
どちらを選ぶべき?目的別の選び方ガイド
新しい設備導入や事業転換をしたい場合
補助金 を活用することで、初期投資の負担を抑えながら 新たな挑戦に踏み出すことができます。 ただし、事業計画の精度や準備期間を十分に確保することが重要です。
人材育成や労働環境の改善をしたい場合
助成金 を活用することで、雇用の安定や職場環境の改善を 着実に進めることができます。 日常的な労務管理の見直しとセットで検討すると効果的です。
なお、補助金と助成金は「どちらか一方しか使えない」というものではありません。 目的やタイミングを整理すれば、段階的に併用することも可能です。 重要なのは、制度ありきではなく、 「自社が今、何に投資すべきか」を軸に判断することです。
補助金と助成金の違いとは?知らないと損する基礎知識のまとめ
補助金は新しい設備やサービス開発など、 企業の「挑戦」を後押しする制度です。 一方、助成金は雇用や人材育成など、 「人への投資」を支援する制度です。 どちらも返済不要という大きなメリットがありますが、 制度の目的や仕組みを理解せずに選ぶと、 期待した効果が得られない可能性があります。 自社の経営課題と照らし合わせながら、 最適な制度を選択・活用することが、 経営改善への近道と言えるでしょう。
