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IT企業の資金調達について徹底解説

作成日:2026.03.13

ラ・ポールの徹底解説vol.4(2/3)
IT企業の資金調達について徹底解説
―成長・開発・採用が同時並行する業界特性を踏まえた実務ガイド

IT企業の資金調達について徹底解説―成長・開発・採用が同時並行する業界特性を踏まえた実務ガイド

■3. IT企業が利用できる主要な資金調達手段

IT企業は資金需要が大きいため、資金調達の選択肢も多岐にわたります。
ここでは、スタートアップから中堅規模まで幅広く利用できる主要手段を徹底的に解説します。

① 銀行融資(制度融資含む)
IT企業でも銀行融資は十分可能です。ただし、決算書よりも事業計画の質が重要です。
銀行が重視するのは以下:
・収益モデルの明確性
・技術開発の進捗
・顧客の質
・経営者の事業理解
・返済原資の見込み
設備がないため「貸せない」わけではなく、「事業の持続性が説明できれば貸せる」というのが現実です。

② ノンバンク(ビジネスローン)
銀行が難しくても、ノンバンクはIT企業とも相性が良いです。
特に、技術系・受託系・SaaS系は案件ベースで入金が読めるため評価されやすい傾向にあります。

③ ABL(売掛債権担保融資)
IT企業が持つ最大の資産は売掛金です。
受託開発や保守契約などの売掛金はABLと相性がよく、安定的に調達できます。

④ ファクタリング
開発が長期化し、運転資金が不足する場面で有効です。
銀行が難しい初期成長期では特に活用価値が高いです。

⑤ VC(ベンチャーキャピタル)・エクイティ調達
IT企業といえばエクイティ調達が代表的です。
・大規模開発
・マーケティング投資
・赤字前提での成長
など、融資では賄えない領域をカバーできます。

⑥ エンジェル投資家
初期プロダクト段階では、実績より経営者のビジョンが重視されるため、エンジェル投資と非常に相性が良いです。

⑦ 助成金・補助金(IT導入補助金など)
IT企業向けの補助金は種類が多く、
・開発費
・採用費
・マーケティング費
など、幅広く活用できます。
※助成金は返済不要のため、資金調達計画に必ず組み込むべきです。

■4. SaaS企業・受託開発企業・AI企業…ビジネスモデル別の最適調達

IT企業の中でも、ビジネスモデルによって適切な資金調達手段は大きく変わります。
これを理解せずに資金調達すると、成長機会を逃すか、不要な負債を抱えるリスクがあります。
ここではモデル別に徹底解説します。

① SaaS企業(サブスクリプション型)

SaaS企業の最大課題は「初期赤字」です。
・顧客獲得コスト
・開発費
・改善サイクル
が前半に集中し、収益化までの時間が長くなります。しかし、一度軌道に乗ると以下の強みが輝きます:
・ストック売上
・高い継続率
・利益率の高さ
・スケールのしやすさ
SaaS企業に最適な調達は、
・VC
・融資(将来キャッシュフローを元に評価)
・回収期間に応じたABL
です。

② 受託開発企業
受託開発は、
・案件獲得
・開発
・検収
・入金
という流れがあり、開発期間が長くなるほど運転資金がかさみます。
受託企業の最適手段は、
・ABL
・ファクタリング
・銀行融資(案件ベース)
売掛金が担保力を持つため、ABLの相性が非常に良いです。

③ AI・ディープテック・研究系企業
AI企業は、
・研究開発費
・GPUコスト
・人件費
が高額で長期投資が必要です。
最適なのは、
・VC(エクイティ)
・補助金(研究開発系)
・長期融資
AI企業は「黒字化まで時間がかかる」ため、融資よりエクイティが中心となります。

■5. 成長ステージ別の最適資金戦略

IT企業はステージによって資金調達ニーズが大きく変わります。

① シード期(0 → 1段階)
必要なもの
・プロトタイプ
・少人数エンジニア
・初期PMF検証
資金調達ポイント
・エンジェル投資家
・小規模VC
・補助金
・少額融資

② アーリー期(1 → 10段階)
必要なもの
・本格開発
・営業組織
・マーケティング体制
資金調達ポイント
・VC
・ノンバンク
・ABL
・銀行制度融資

③ ミドル・成長期(10 → 100段階)
必要なもの
・組織拡大
・人材採用
・海外展開
・大規模システム投資
資金調達ポイント
・VC大型調達
・銀行融資拡大
・社債
・ABL

④ レイター期(100 → IPO準備)
必要なもの
・ガバナンス構築
・内部統制
・大規模マーケ投資
・従業員持株制度
資金調達ポイント
・銀行本格融資
・社債
・ブリッジファイナンス
・IPO調達
ステージに応じて“最適な資金の色”が変わることが最大のポイントです。